花粉症について
花粉症とは
花粉が原因で引き起こされるアレルギー疾患です。
アレルギー性鼻炎: くしゃみ、鼻水、鼻づまり
アレルギー性結膜炎:流涙、眼のかゆみ
その他、のどのかゆみ いがいがなどの喉頭アレルギー症状
まれに喘息 アトピー性皮膚炎を併発することもあります。
昭和36年にはじめて報告された新しい病気ですが、その後増加し、現在は国民の16%、2000万人が
罹患していると推定されます。大都市に多く農村部で少ないようです。
小学生の頃から症状は出なくとも花粉に対する抗体を持ち始め(感作)、20歳代から40歳代でもっとも
多くの方が症状を出し(発症)し、高齢者では逆に減少します。
ダニ ハウスダストが原因となるアレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎は、メカニズムは同じですが、
花粉症とは言わず通年性のアレルギー性鼻炎、通年性のアレルギー性結膜炎と言います。
花粉症発症のメカニズム
人体にとって異物である花粉が体内(鼻粘膜 結膜 喉)に入ると、マクロファージという異物認識細胞に
出会いその情報はTリンパ球に送られ、Tリンパ球は花粉抗原(Cryj1、Cryj2)と結合し抗体産生する役
目のBリンパ球を刺激し、Bリンパ球は花粉抗原と反応する抗体(特異的IgE抗体)を作ります(感作され
たと言います)。感作されたつまり花粉に対する特異的IgE抗体を持った人に花粉(抗原)が入ると反応し
様々な花粉症症状が出てきます。
アレルギー性鼻炎:鼻は呼吸する空気から粉塵を取り除き、加温加湿する役目を果たします。吸った空
気と一緒に入った花粉の一部が鼻の粘膜に付着し抗原成分が鼻粘膜内に浸透していきます。
花粉抗体は、肥満細胞を刺激して化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン)を放出させ鼻粘膜神経を刺
激させてくしゃみ鼻水を起こし、血管を刺激して鼻閉を起こします。さらには遅延型反応を呈して花粉の
ない状態でも鼻閉が続くようになります。
アレルギー性結膜炎:花粉症は主に結膜(白目とまぶたの裏側)で反応を起こしますが、花粉抗原は涙
に溶け出し特異的IgE抗体と肥満細胞上で反応し、化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン)が放出され
ます。
ロイコトリエンは結膜の充血をおこします。ヒスタミンは結膜神経を介してかゆみを生じ、流涙 異物感が
強くなります。ドライアイ(乾燥性結膜炎)があると症状が悪化しやすくなります。
コンタクトレンズがあるとレンズと結膜の間に花粉が入ってしまい涙で流されにくくなるためやはり症状が
悪化します。また治療に使う点眼液が懸濁液の場合があるため、花粉症の方はこの時期コンタクトレンズ
の使用を控えるべきでしょう。
さらに喉に影響して、喉のかゆみや咳、まれに喘息を起こしてきます。鼻閉による頭痛、微熱、だるさを起
こします。
花粉症の悪化要因について
花粉症を悪化させる要因として断定された訳ではまだありませんが、タバコ ディーゼル排気ガスなどの
大気汚染物質、植林の影響、衣食住の変化などが悪化要因と考えられています。
花粉症の予防について
1,花粉の暴露を防ぐ方法として、立体型マスク 花粉の付着しにくい衣類(羊毛を避ける)の使用、洗
顔、花粉症用メガネの着用、またコンタクトレンズはこの期間控えましょう。
2,薬剤による予防的投与:花粉飛散開始2週間前から薬剤(第2世代抗ヒスタミン剤、化学伝達物質
遊離抑制剤、Th2サイトカイン阻害剤)の予防的内服ないし外用が一般的で治療効果は高くなります。
そのためには前もって花粉飛散開始予測日を知ること、さらには症状の程度を予測できる総飛散量の
予測を知っておくことが大事です。
花粉飛散開始予測日:いつ頃からスギ花粉が飛び始めるかは、1月から2月の気温の変化によって
決まりますので、年明けからは花粉情報には注意しておきましょう。
総飛散量の予測: その年の花粉症がどの程度重くなるのかを予測する指標です。スギの雄花にな
る細胞が分化するのは7月なので、7月の気温が高く雨が少ない(猛暑)のであれば翌年の花粉は
多くなり、逆に気温が低く雨が多い(冷夏)のであれば翌年の花粉は少なくなります。
花粉症の検査法
症状、発症時期を正確にお聞きしますとだいたい診断がつきます。それから原因となる花粉の種類を予
測して検査をしていきます。
花粉の種類によって治療する時期(スギなら4月一杯、ヒノキなら5月一杯 ヨモギ ブタクサは秋)と違
ってきますから、問診の内容 地域性を考えて検査します。
実際のアレルギーの検査には、血液鼻汁の好酸菌 皮膚テスト 誘発検査 特異的IgE検査(RAST法)
がありますが、特異的IgE検査(RAST法)が感度もよく一般的となっています。スギ4+ ヒノキ2+な
どと伝えられる検査で採血で行いますが、やや高価な検査です。
花粉症の治療
薬物治療
1、季節前投与法(予防的治療)
あらかじめ花粉飛散開始予測日の2週間前から予防薬を使用する方法です。クリニックの掲示板 ホー
ムページを年末あたりより注意して見ていて、飛散開始日が確定したらその2週間前から治療開始する
のがもっとも効果的です。当院では通常2月1日から内服し始めて貰っております。
2,対症療法(症状が始まってからの治療)
症状が始まってからでも遅くはありませんが、次年度からはなるべく季節前投与法を実行しましょう。
鼻症状
くしゃみ 鼻汁が主症状の場合は抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬を使います。
鼻閉が主症状の場合はロイコトリエン拮抗剤、ステロイド噴霧剤を使います。鼻閉が強い場合は短期間
に限って血管収縮薬の点鼻やまれにステロイド内服をすることもあります。主治医によく相談してください。
眼症状
花粉症での点眼薬には懸濁液が多いのでコンタクトレンズ使用中の方は注意してください。出来れば
花粉症の期間中はコンタクトの使用は止めて普通のメガネの使用をお勧めします。
鼻症状とは違って抗アレルギー点眼薬が第1選択となります。症状がひどく抗アレルギー点眼薬では効
果が不十分な場合にステロイド点眼薬を併用します。
ステロイド点眼薬は長期使用すると眼圧上昇させたり、白内障を生じたりしますので注意が必要です。
また懸濁液ですのでコンタクトレンズの使用は止めてください。
ステロイドの注射と内服について
ステロイド剤の注射および内服はその副作用からほとんど行われていません。
当院では少量ステロイド含有のセレスタミンのみ、特に症状のひどいときのみに限って短期間少量
投与のみ許可しています。
ステロイド注射療法はお勧めできません。当院では行っておりません。
根治療法(免疫療法)
減感作療法といわれ、抗原特異的な免疫療法であるため、主にスギに対して行われます。花粉の抽出
液を低濃度から注射して花粉にたいして防御免疫を逆に獲得させる治療法です。
花粉症の始まる3ヶ月前から最初1ヶ月は週1回、次の2ヶ月は2週に1回、その後月1回の注射を2年
間続けます。高い効果がありますが、専門的な治療であり自治医大等で行われています。
症状のひどくなる方にはお勧めしています。
最近はスギ花粉症に対して、Cryj1,Cryj2精製抗原エキスが完成し、治療効果が改善しつつあります。
・・・・環境省 花粉症保健指導マニュアルより