アーチトップ
Let's Play The Guitar
ギター、それは弾く者の感情を6弦の音として表現する楽器である・・・

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アーチトップ・ギター

アーチトップ・ギターとは、トップ板が中央に向かって、丸くふくらんでいるギターのことです。
フラットトップとの大きな違いは、サウンドホールが中央に丸く空いているのではなく、アルファベット小文字のf(またはS)の形をしています。(fホール・Sホールと呼ばれる)
(バイオリンと同じ構造ですね)

アーチトップ・ギターは、まだエレクトリックを必要としなかった時代(約100年ほど前)にバンド・アンサンブルの中でより大きな音を出すことを目的に作られました。
当時はそれほど大きなホールはなかったので、エレクトリックほどの音量は求められませんでした。

アーチトップといえばGIBSON、当時のギブソン社はマンドリンが主力商品でしたが、同時にギターも製作していました。
マンドリンの需要が下がっていくにしたがって、ギターの製作に力を入れ、下の写真のL-5が生まれます。

当時は、アーチド・トップ・ギター、フル・アコースティック・ギター、ピック・ギターと呼ばれていました。
現在はピックアップがないアーチトップを、ピック・ギターとも呼ばれます。
ピック・ギターはピックアップがないため、分類上はアコースティック・ギターになります。

(写真はアーチの名機GIBSON:L-5)
L-5の次にL-10やL-50などが発売されます。

アーチトップギターは、トップ板を曲げるのではなく、分厚い板を内側と外側から削ってなめらかなアーチを形成するという、手間のかかった作り方をされています。
フラットトップとアーチトップの最大の違いは、フラットトップがボディからネックまで真っ直ぐなのに対して、アーチトップはボディとネックに角度が付いています。

上の絵のような状態になっています。
アーチトップは、ボディとネックの角度に弦を沿わせるために、ブリッジの背が高くなっています。
ブリッジとテールピースは離れており、弦のテンションにより、ボディにブリッジを押さえつけて固定します。
そのため弦を緩めると、ブリッジが動いてしまうので、弦交換の時は注意が必要です。
オクターブチューニングを調整する時は、ブリッジを前後に動かすことで調整を行います。
ブリッジはローズウッドなどの木材でできており、一体式の構造です。

また、内部はブレイシング(力木)がないため、フラットトップよりもボディ全体が響きますが、フラットトップのように音が前に出る感じではありません。
フラットトップに比べ、あたたかみのあるまろやかな音がします。
ボディはやたら大きく、ギブソン:スーパー400というモデルはとてつもなく大きなボディです。
(ボディの幅は、L-5が16インチ、L-50が17インチ、スパー400は18インチ)

その後、時代はエレクトリックへ変わり始め、ギブソンのアーチトップにもピックアップが搭載されます。
ピックアップを搭載し、アンプから音を出すようになると、ボディの大きさゆえハウリングが発生します。
このため、アンプのセッティングがとても微妙で、演奏中もアンプの方を向くとハウリングが発生しました。

そのハウリングを抑えるため、ボディサイズの小さいESというシリーズが発売されます。
ESとはエレクトリック・スパニッシュの略、抱えて弾けるギターという意味です。
このESシリーズを現在は通称:フルアコと呼んでいます。(ギブソン:ES-175が有名)



それでもハウリングが発生するので、ボディ内部にセンターブロックといわれる木を入れ、空洞部を2分割にしました。(セミ・ホロウ構造)
これが通称:セミアコ(セミ・アコースティック)です。(ギブソン:ES-335が有名)





簡単に図で書くと下の絵のようになります。(本当はトップはアーチ状です)


フルアコ・セミアコはピックアップが付いているため、分類上はエレキギターになります。

ES-175、ES-335は弦のテンションでブリッジを固定するという基本的構造は変わりませんが、ブリッジがスタッドと呼ばれるボディに埋め込んだボルトの上に乗っており、前後の位置ズレによるチューニングの狂いを防止しています。

ブリッジは、金属製(主にブラス)のチューン・オー・マティック(ナッシュビルタイプ)といわれる構造で、ブリッジサドルが独立した構造になっており、各サドルの調整ネジを回すことでオクターブチューニングを行います。
このブリッジは、レスポールも同じ構造です。

使用弦は、普通のワウンド弦、やわらかで暖かみのある音がするフラットワウンド弦のどちらも使えます。
弦については弦についてで解説しています。

アーチトップは、現在もあらゆるジャンルの音楽で使われています。
ピックギター、フルアコはジャズで多く使われます。
特に小さなジャズ・バーなどのライブでは、ピックギターが好んで使われます。
同じジャズでも、ライブハウスなどではピックアップ付のフルアコが使われます。
どちらも、やわらかな何ともいえないあたたかみのある音がします。

セミアコは、ジャズ・ブルースからハードロックまでと、とても広いジャンルで使われています。
センターブロック・セミホロウ構造のため、ソリッドのエレキギターでは出ないリバーブ感と、歪ませた時にクリーンな部分が失われにくい(セッティングによる)というセミアコ独特の音が好まれています。

その他、日本でアーチトップといえば、かしまし娘、玉川カルテットなどの漫才師が使っていることでおなじみです。(しかも何とギブソン)

アーチトップは、一度弾いたらその音に魅了される素晴らしいギターです。
そして、ビンテージと呼ばれる戦前のアーチトップの造形美は、芸術品といってもいいほどです。


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