野菜

野菜が冠状動脈心疾患や便秘を予防する効果については、昔から広く知られていました。また、最近ではがんの予防効果についても盛んに言われています。一般的に使われている根菜類やアブラナ科の野菜もあれば、サラダ野菜に、エキゾチックな地中海産の野菜や海草もあり、それに忘れてはならない、タマネギ、リーキ、ニンニクなどのアリウム属の野菜。このような幅広い種類を誇る野菜は、ビタミンとミネラルの宝庫として定評があります。私たちの体を保護してくれるそのような成分の損失を防ぐために、野菜を食べるときは生か、軽く調理するのが良いでしょう。
1998年に発表された世界がん調査報告書では、大規模な地域別調査で、くだものと野菜のがん予防効果を裏付ける結果が示されました。さらに、イタリアなどで最近行われた調査により、さまざまながんの予防に、野菜の摂取(とりわけ生の野菜の摂取)が一貫してかかわっていることが強く裏付けられています。また、このような予防効果を生み出すのは、野菜やくだものに含まれる、カロテノイド、ビタミンC、E、セレン、食物繊維、フラボノイド、フェノール、植物性のステロール、プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)阻害物質などの成分である可能性が、研究によって明らかにされています。
日常の食事で野菜を豊富に食べる習慣を持つ国もあれば、残念なことですが、野菜を肉料理や魚料理の添え物としか考えてこなかった国もあります。しかし、野菜の価値が認められるにつれて、それぞれの味覚に合わせた野菜の取り入れ方が、次から次へと生まれつつあります。生のまま、あるいは調理した野菜をそれだけで食べたり、ほかの材料といっしょにサラダやスープやシチューに入れたり、焼いたり、裏ごしにしたり、また最近とみに人気のあるのが、楽しいジュースの数々です。自然療法や昔ながらの民間療法においては、胃潰瘍や消化器の病気など、幅広い症状の治療に、また肝臓のはたらきを活発にするためにも野菜ジュースが薦められてきました。スープやシチュー、裏ごしなどに野菜を使えば、調理中水に溶け出したビタミンは、できあがった料理にちゃんと残っています。
ジャガイモやヤムイモは多くの国で主食として食べられ、炭水化物の主要な供給源であるとともに、ビタミンとミネラルも供給しています。ただし、「1日5ポーション」の目標という点から見ると、ジャガイモはでんぷん(炭水化物)を多く含む食品のグループに入るため、野菜としては数えられません。
根菜
豊富な成分はビタミンと食物繊維
ジャガイモ、ヤムイモ、サツマイモ、スウェーデンカブ、ニンジンなどの根菜は、ヘルシーで腹持ちのよいでん粉を豊富に供給してくれる、ぜひ食事に取り入れたい食品です。残念なことに、根菜は高カロリーだという誤解から、減量中の人は避けるようにという忠告がよく聞かれます。実際のところは、料理に添えるソースやバターなどがエネルギーを高くしているのです。華やかさはないけれど、とても大切な食品である根菜は、ビタミンA、B群、C、Eが豊富で、少量の微量元素も含んでいます。また、食物繊維の貴重な供給源でもあり、皮まで食べればさらに効果的です。
ビートやニンジン、サツマイモ、カブなど、濃い赤色と黄色の根菜には、微量元素に加えて、体に役立つ量のビタミンAが含有されています。旬の根菜は値段も安く、風味もいちだんと豊かで、お腹を満たしてくれます。あまりなじみのない根菜、たとえばアーティチョーク(エルサレム・アーティチョークも)、パースニップ、フェンネルなども、各種ビタミンとミネラルが豊富ですから、積極的に食卓に取り入れましょう。
ほとんどの根菜は、ゆでたり、焼いたり、マッシュ(ゆでてからつぶす)にしたり、ほかの材料と組み合わせてスープやシチューにしたりという形で、調理して食べます。調理しても栄養分は大部分が残ります。また、ニンジンやカブ、ラディッシュ、新鮮なベビーアーティチョーク、フェンネルなどは、旬のものであれば生でもおいしく食べられます。
ニンジン
★効果がある体の器官や機能:
 免疫系/消化器系/皮膚、毛、目/心臓と循環器
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:21kcal
★豊富な成分:β-カロテン
ニンジンのβ-カロテン含有量はずば抜けて多く、ニンジン1本分のβ-カロテンは、体内で1日に必要な量のビタミンAに転換されます。ビタミンAは皮膚を健康に保ち、病気に対する抵抗力のある粘膜を作りますから、肺や呼吸器系統全体の機能の保護に、ニンジンはとても重要な役割を果たしています。ビタミンAには、夜間視力を正常に保つはたらきもあります。β-カロテンの吸収率は、色が濃くて古い、調理したニンジンのほうが、新ニンジンよりもずっとすぐれています。また、同じメニューの中に油脂が含まれていると、さらに吸収が高まります。高濃度の残留農薬を避けるために、できるかぎり有機栽培のものを選びましょう。
ニンジンをたくさん食べることとがんの発病率の関連性について、40を超える研究が発表されていますが、そのうち75%で、ニンジンにはがんのリスクを減らす効果があるという結果が出ています。また、紫外線から皮膚を守り、肌荒れやシワを防いでくれるアンチエイジング効果もあると考えられています。
さらにビタミンC、Eという抗酸化物質も含まれているニンジンは、動脈疾患の人には欠かせない食品です。
昔から伝わる民間療法は、下痢の治療にニンジンを薦めています。特に幼児にとっては、ニンジンの裏ごしはヘルシーな食品でもあり、食べやすい薬でもあります。自然療法の世界では、肝臓を刺激し、黄疸の症状をやわらげるために、2日間、新鮮なニンジンジュースとたっぷりのミネラルウォーターだけを口にする断食を推奨しています。

|+| がん予防、心臓、循環器、眼の健康維持に効果的。
|+| 皮膚と粘膜を守る効果がある。
|+| こんなふうに食べましょう:古いニンジンを調理して。
ジャガイモ
★効果がある体の器官や機能:
 消化器系/心臓と循環器/神経系/骨と筋肉
★古いジャガイモ 100gあたりのエネルギー:75kcal
★フライドポテト 100gあたりのエネルギー:239kcal
★豊富な成分:食物繊維、ビタミンC
驚くほどの栄養素がぎっしり詰まったジャガイモは、長いあいだ、アイルランドの農業従事者にとっての主食でした。ジャガイモには、食物繊維、ビタミンB群、ミネラル、そして壊血病予防に充分なビタミンCが含まれています。これはジャガイモをゆでても焼いても変わりません。カリウムをはじめとする重要な栄養素は皮に含まれていますから、皮ごとオーブンで焼くベイクトポテトは栄養面ですぐれています。
これまでずっと、減量を始めようとする人に対しては、ジャガイモを食べないようにという医師の指示が与えられてきました。ところが一般に考えられているのとは逆に、ジャガイモは減量に向いている食品なのです。あたりまえのことですが、ジャガイモが健康にいいか悪いか、それはジャガイモの調理法しだいです。肉といっしょにフライパンで焼けば、ジャガイモ100gあたり5gの脂肪がプラスされます。自家製のフライドポテトは同じく脂肪15g、ポテトチップスなら脂肪36g近くになります(低脂肪タイプでも約26g!)。一方、ゆでたジャガイモやベイクトポテトはおいしさでは引けを取りませんが、100gあたりの脂肪はわずか0.1gです。
総合的な栄養価は、ジャガイモの品種や土壌の種類によってことなりますが、エネルギーとたんぱく質の供給源として、ジャガイモほどすぐれた農作物はないと言っていいでしょう。
ジャガイモのでん粉質は加熱すると非常に消化しやすくなるので、病弱な人や消化器に問題のある人に適していますし、離乳食に最適です。ジャガイモのたんぱく質は大豆たんぱく質に負けないほどの栄養価があり、子どもや体の弱っている人、ベジタリアンにとって理想的な食品です。さらにビタミンCも、アメリカの1日の栄養所要量の3分の1以上(イギリスの栄養所要量の半分)を含んでいます。

|+| 消化器の病気、慢性疲労、貧血に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:皮をつけたまま、焼く、蒸す、ごく少量の水でゆでる。
|−| 傷がついたり、緑っぽくなったり、芽が出ているものには、ソラニンという有毒な化学物質が含まれています。このようなジャガイモを食べると体調が悪くなったり、大量に食べた場合には死に至ることもあります。

健康に果たしてくれる役割
●東ヨーロッパと西ヨーロッパの自然療法では、胃潰瘍と骨関節炎の効果的な治療薬として、生のジャガイモを搾ったジュースが使われてきました。治療法は簡単。ジャガイモの生ジュースを小さめのグラスに半分、1日4回、1ヵ月飲み続けます。味はひどいものですが、リンゴやニンジンのジュースを混ぜて飲みやすくするか、ハチミツを入れてもいいでしょう。もう一つの方法は、ジャガイモジュースをスープに混ぜて食べることです。ただし、調理中ではなく、食べる直前に入れてください。

食品でできる応急処置
●ジャガイモの皮のお茶はカリウムがたっぷりで、高血圧を治す昔ながらの療法として使われています。
サツマイモ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/皮膚、毛、目
★100gあたりのエネルギー:87kcal
★豊富な成分:でん粉、カロテノイド
サツマイモはヤムイモ(次ページ参照)と混同されることが多く、一つの植物の違う呼び名だと書いてある本もたくさんありますが、実はまったく別の種類で、ヤムイモは栄養面で劣っています。
サツマイモはでん粉が非常に豊富で、したがってすぐれたエネルギー源でもあります。ほかにも、たんぱく質、ビタミンCとE、それにβ-カロテンなどのカロテノイドを大量に含んでいます。塊茎に含まれるこういった成分と、ガングリオシドという物質の力で、サツマイモはすぐれた制がん効果のある食品になっています。1日にわずか100gのサツマイモを食べるだけで、肺がんのリスクは劇的に減少します。タバコを吸う人、以前タバコを吸っていた人にとっては、特に重要なメリットです。

|+| 視力の問題、夜間視力に効果的。
|+| 皮膚の病気とがん予防に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:ゆでる、マッシュにする、焼く。
ヤムイモ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/神経系/生殖器系
★100gあたりのエネルギー:114kcal
★豊富な成分:炭水化物
炭水化物が豊富なヤムイモは、特にアフリカの国々で主食として利用されています。たんぱく質と、適度な量のビタミンCを含んでいますが、ビタミンAとEはないに等しく、食物繊維はサツマイモに遠くおよびません。しかし、フィトエストロゲンを含有しているため、ホルモンに関連するがんの予防効果が考えられることと、更年期を迎えている女性にとってはありがたい食品と言えるでしょう。
エネルギー源としてはサツマイモよりもすぐれていますが、たんぱく質の量はやや少なめです。しかし、栄養の質はヤムイモのほうが上だと考えられていますから、どちらもたっぷり食べるにこしたことはありません。

|+| すぐれたエネルギー源。
|+| こんなふうに食べましょう:ゆでる、焼く、マッシュにする。
スウェーデンカブ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/皮膚、毛、目
★100gあたりのエネルギー:24kcal
★豊富な成分:ビタミンC
スウェーデンカブは大型でヘルシーなアブラナ属の野菜です。牛の餌としか思っていない人が多いのですが、繊細な風味を持ち、アブラナ属の植物特有(イソチオシアナート)の制がん効果をそなえています。ビタミンC含有量は非常に多く、アメリカの1日の摂取許容量の50%にあたります。充分な量のビタミンAも含み、ナトリウムはほぼゼロ、少量ですが食物繊維と、土壌の質によって微量元素も少量含まれます。スウェーデンカブ100gはわずか24kcal、しかもお腹がいっぱいになりますから、体重を気にしている人には申し分のない食品です。
ジャガイモといっしょにマッシュにすると、初期の離乳食に最適です。

|+| がん予防、皮膚の病気に効果的。離乳食に最適。
|+| こんなふうに食べましょう:ゆでる。シチュー、キャセロール、スープの材料として。
|−| スウェーデンカブには、ゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)が含まれています。したがって、甲状腺に問題のある人や、甲状腺ホルモンであるチロキシンを使った治療を長期にわたって受けている人は、控えめに食べなければなりません。
ビート
★効果がある体の器官や機能:
 免疫系/消化器系/心臓と循環器/神経系/生殖器系
★100gあたりのエネルギー:36kcal
★豊富な成分:カロテノイド、葉酸
ジプシーの治療法では、患者の顔色が悪く衰弱しているとき、血液の生成を促すためにビートのジュースが使われていました。ロシアと東ヨーロッパでは、抵抗力をやしなうためと、重病後の回復期にある患者の治療に使われています。有機農業の草分けとなったスイス人、ヒューゴ・ブランデンバーガー博士は、白血病の治療のために、乳酸発酵でオーガニック・ビートジュースを栄養価が最も高い状態に保つ技術を開発しました。中央ヨーロッパではずいぶん前からビートががんの治療に使われていますが、最近、科学的な研究によってその理由が明らかになりつつあります。赤い色素と結合している特定の抗発がん性物質があることと、ビートにも、細胞が取りこむ酸素の量を最大400%まで上昇させるはたらきがあるためだといいます。
ビートの葉もまた、β-カロテンなどのカロテノイドと大量の葉酸、カリウム、鉄分がいくらか、さらにビタミンCも含まれる、栄養価の高い食品です。このような成分に恵まれたビートの根と葉は、女性全般、とりわけ妊娠を計画している女性にぴったりです。生のビートで作ったフレッシュジュースは血液を浄化し、元気を与えます。また、大昔から消化を助け、肝臓のはたらきを活発にする飲み物として定評があります。

|+| 貧血、白血病に効果的。
|+| 慢性疲労症候群全般と回復期の患者に大いに役立つ。
|+| 出産年齢にある女性に役立つ。ビートの葉は骨粗鬆症に特に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:生をすりおろしてサラダに入れる。葉はゆでて、そのまま食べるか、オーブンで焼くか、スープにする。

健康に果たしてくれる役割
●筋痛性脳脊髄炎症候群、TATT(常時疲労症候群)、単球増加症の治療や、衰弱をともなう病気の回復期にすばらしい効果があるのが、ビート、ニンジン、リンゴ、セロリのジュースです。毎回の食事前に、おいしいジュースを小さなワイングラスに注いで飲みましょう。尿や便が真っ赤になってもあわてないように――その正体は血ではなくビートなのです!
パースニップ
★効果がある体の器官や機能:消化器系/神経系
★100gあたりのエネルギー:64kcal
★豊富な成分:食物繊維、葉酸、カリウム
さんざん無視され、あるいはいわれのない中傷を受けていますが、もっと活かすべき野菜です。せっかく独特のおいしさがあるのですから、さいの目に切ってシチューに投げこんで終わり、ではあまりにもったいないではありませんか。
野生のパースニップはヨーロッパのほぼ全域で古くから知られ、道端や耕した畑の片隅など、白亜質の土壌に育ちます。ニンジンと同じように栽培の歴史は古く、ローマ皇帝ティベリウスが、ライン河の土手からはるばるローマまで生のパースニップを運ばせました。ドイツでは、40日間の断食を行う四旬節に、塩漬けの魚といっしょにパースニップを食べます。オランダではスープの材料として使われています。アイルランドではお湯とホップの中でゆでて、ビールを作っていました。また、イギリスの田舎では昔、パースニップのジャムやワインまで作られていました。
カルペパー、ジェラルド、トゥルヌフォールといった第一線の植物学者も、神学者のジョン・ウェズリーまでもが口をそろえて、パースニップは牛にも豚にも、そして人間にもぴったりの、栄養価の高い食品だと言っていました。そして、まさにその通りなのです。パースニップは旬に食べるべき食材の代表例でしょう。最近のスーパーマーケットは世界中から食品を集めて、1年中何でもそろっていますが、それはつまり、過剰栽培されたり、不自然な育てられ方をしたり、人工飼料で育てられたりしたものが、風味もなければ栄養価も薄れてしまった姿でお皿に乗るということなのです。
パースニップには健康に役立つエネルギーと、食物繊維、カリウム、葉酸、ビタミンE、微量のミネラル、ビタミンB群が含まれています。初霜の降りたあとが、風味も甘みも最高です。

|+| 疲労と便秘に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:ゆでる。マッシュにする。(植物油をつけて)ローストする。
カブ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/骨と筋肉/呼吸器系
★100gあたりのエネルギー:23kcal
★豊富な成分:ビタミンC、食物繊維
カブもまた、アブラナ属の植物が持つすばらしい治癒効果をすべて備えた野菜です。自分でカブを栽培している人はみな、春まだ早い時期、青々としたみずみずしいカブの葉を食べる楽しみを知っています。カブには尿酸を体外に出すはたらきがあるため、昔から痛風や関節炎の治療に使われてきました。
ミルクで薄くのばしたカブのピューレは、昔ながらの気管支炎の治療薬です。カブには食物繊維が豊富に含まれ、少しですが充分役に立つ量のカルシウム、リン、カリウムと、ビタミンB群もいくらか含まれています。さらに、ビタミンCも多量に含まれています。

|+| 痛風、関節炎、胸部感染症に効果的。
|+| すぐれたがん予防効果。
|+| こんなふうに食べましょう:生でサラダに入れて。軽くゆでるか、スープやシチューの材料として。
|−| カブには、ゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)が含まれています。したがって、甲状腺に問題のある人や、甲状腺ホルモンであるチロキシンを使った治療を長期にわたって受けている人は、控えめに食べなければなりません。
フローレンスフェンネル
(イタリーウイキョウ) ★効果がある体の器官や機能:消化器系/排泄器系
★100gあたりのエネルギー:50kcal
★豊富な成分:精油
フェンネルの薄緑の葉が持つ繊細な味わいは魚との相性が非常によく、その葉が好まれて、さまざまな種類のフェンネルが2,000年以上も前から栽培されてきました。フェンネルの種も、昔から治療薬として使われています(P.174参照)。けれどもフローレンスフェンネルは、利用されるのは緑がかった白の大きな球茎の部分で、はっきりした風味と、特徴的なアニスの香りを持っています。その独特の風味と薬効のもとになっているのが、アニス酸、リモニン、フェンチョン、アネトールなどの精油成分です。栄養面から見ればビタミンやミネラルの宝庫とは言えませんが、フェンネルの球茎は低カロリーですし、余分な水分を体外に出すはたらきをしてくれます。

|+| 消化器の病気、特に胃腸内にガスがたまる症状に効果的。
|+| 穏やかな利尿効果。
|+| こんなふうに食べましょう:生で。炒め煮、あるいはゆでて。

食品でできる応急処置
●フェンネルのスライスをサラダに入れたり、サンドイッチにはさんだりして、いつもとはひと味ちがうおいしさを楽しみましょう。
アーティチョーク
★効果がある体の器官や機能:
 消化器系/心臓と循環器/骨と筋肉/排泄器系
★アーティチョーク
 100gあたりのエネルギー:18kcal
★エルサレム・アーティチョーク(キクイモ)
 100gあたりのエネルギー:41kcal
★豊富な成分:シナリン、またはカリウム
フランスの主婦なら、アーティチョークが消化を促進し、胆嚢と肝臓を元気にしてくれる野菜であることを知らない人はいません。シナリンという苦い化学物質が豊富なアーティチョークは、脂肪の消化を助ける胆汁の生産を活発にするはたらきがあるため、油っこい食事の最初のコースに出されることになっています。胆汁のはたらきは、油で汚れたお皿を洗剤がきれいにするのとまったく同じ理屈です。つまり、脂肪を微細な球に分解して、胃の中の消化液にふれる表面積を大幅にふやすのです。
アーティチョークのエキスは、昔から高血圧の薬草療法に使われていますし、コレステロールを体外に出すはたらきでも知られています。利尿効果もありますから、有毒物質を追い出して体を浄化してくれるアーティチョークは、痛風や関節炎、リウマチの人に役立つ野菜です。
運よく新鮮なベビーアーティチョークが手に入る人は、薬効を最大限に引き出すために、オリーブオイルを少し添えて生で食べてください。さっとソテーして、パスタといっしょに食べるのもいいでしょう。
アーティチョークはアザミの1種で、ヨーロッパの地中海沿岸地域を原産としています。一方、エルサレム・アーティチョークは北米産で、1600年代にフランスに渡りました。カリウムは豊富ですが、それ以外はとりたてて栄養価はありません。しかし消化吸収されにくい食物繊維のひとつ、イヌリンを含んでおり、これは大腸の中で細菌のはたらきによって発酵するため、お腹にガスがたまってちょっと困ったことになる場合もあります。エルサレム・アーティチョークはスープにして食べるのが最適です。

|+| 肝臓と胆嚢の病気、痛風、関節炎、リウマチに効果的。
|+| コレステロール値を下げるはたらきと、すぐれた利尿効果がある。
|+| こんなふうに食べましょう:小さなものは生で。大きなものはゆでて、熱いうちに、あるいは冷めてから。

食品でできる応急処置
●フェンネルのスライスをサラダに入れたり、サンドイッチにはさんだりして、いつもとはひと味ちがうおいしさを楽しみましょう。
ラディッシュ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/消化器系/呼吸器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:1kcal
★豊富な成分:カリウム、イオウ
古代エジプトの王たちは、ラディッシュを貴重な食料と考え、栽培していました。ピラミッドの建設に従事している労働者には、ニンニク、オニオンとともにラディッシュが報酬として与えられたといいますから、どれほど価値があったかがわかります。また、中国の伝統医療において、医学書にラディッシュの記述が見られるようになったのは、7世紀の中ごろのことでした。ラディッシュの原産地は南アジアですが、今ではヨーロッパ全土、イギリス、中国、日本でも栽培されています。イギリスに持ちこまれたのは1500年代なかば以降で、1597年に作られた植物標本集に姿が見られます。
アブラナ属の植物であるラディッシュは、グルコシアネートをはじめとするイオウ化合物を含有しており、これらの成分はがんのリスクがある人にとっては貴重な存在です。しかし、薬草療法でラディッシュが重宝されているのは、何と言っても胆嚢と肝臓の病気に対する効果です。ラディッシュのジュースは胆嚢に強くはたらきかけて、胆汁の分泌を促します。このことはフランスで行われた研究で示されています。
ラディッシュの栄養的な価値はそれだけではありません。豊富なカリウムと、カルシウムも少し、イオウがたっぷりと、適量のビタミンCに加え、葉酸とセレンも含まれています。ただし、ピリッと辛いラディッシュは、食べ過ぎてはいけません。過ぎたるは及ばざるがごとしで、肝臓や腎臓や胆嚢を元気にするどころか、チクチク刺激してしまうことになります。
ラディッシュは若くてしゃきっとしたものを、できるだけ新鮮なうちに食べましょう。葉もいっしょに食べると、ラディッシュの消化を助けます。

|+| がん予防に効果的。
|+| 肝臓と胆嚢の病気、消化不良、胸部の病気に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:生で。
|−| 潰瘍、胃炎、甲状腺の病気がある人はラディッシュを食べてはいけません。
柔らかい野菜
豊富な成分はビタミン、β-カロテン、食物繊維
柔らかい野菜には、貴重な抗酸化作用をもつ栄養素であるビタミンA、C、Eと、β-カロテン、少量の葉酸、そして食物繊維も適度に含まれています。
一価の不飽和脂肪酸が生み出すオイリーでなめらかな味わいを持つアボカドは、野菜の中でもちょっと変わった存在です。高カロリーだと思われがちですが、がんや冠状動脈心疾患の予防に効果的な抗酸化物質が摂取できることを考えれば、エネルギーを問題にしなくてもよいでしょう。
アボカドもピーマンも、生で食べるのが最適です。ズッキーニは生か、軽くソテーするのがおすすめですが、栄養価も風味も格別よくないスクウォッシュは、オーブンで焼いたり、ほかの野菜を中に詰めて料理したりすると、低カロリーでおいしい一品になります。
カボチャとスイートコーンはヨーロッパよりも、アフリカやカリブ海沿岸、北米で広く食べられています。もぎたてのトウモロコシをすぐに調理して食べると、栄養価も高いうえに、口に広がる甘みが何とも言えません。トウモロコシにかける塩が気になる人は、缶詰のとうもろこしでヘルシーに食物繊維を摂取することができます。カボチャは、スープ、シチュー、パイと何にでも使える便利さから、ヨーロッパでも徐々に定着しつつあります。カボチャにはβ-カロテンが大量に含まれています。
アボカド
★効果がある体の器官や機能:
 免疫系/皮膚、毛、目/心臓と循環器/神経系/生殖器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:276kcal
★豊富な成分:カリウム、ビタミンE
アボカドの原産地とされるペルーでは、8,000年から9,000年前にアボカドの栽培が始まったと考えられています。グアテマラの原住民は、アボカドの果実と、乾燥した葉、生の葉、外皮、樹皮、さらに種までも、治療に使っています。
アボカドはカリウムを豊富に含んでいます。カリウムが不足すると、うつ病や疲労を引き起こします。ビタミンB6も含まれていて、月経前症候群(PMS)による情緒不安定を抑える鉄のはたらきを補助します。また、アボカドに含まれるビタミンEとビタミンB群は、ストレスの緩和や、不妊や不能といった性的な問題に効果があります。
減量中の人からは「太る」と敬遠されるアボカドですが、そのカロリーには、とびきりの栄養価がついてくるのです。アボカドには一価の不飽和脂肪酸(特に、オリーブオイルにも含まれているオレイン酸)が豊富に含まれているので、抗酸化食品として非常にすぐれています。この成分のおかげで、心臓疾患や脳卒中、がんを予防する効果が生まれるのです。
アボカドの果肉とオイルは昔から皮膚の治療に使われてきましたが、今では、アボカドに含まれる化学物質がコラーゲンの生成を促すことが知られています。コラーゲンはシワを伸ばし、肌を若返らせる効果がありますから、アボカドを食べるのは、注射やピーリングよりもずっと安上がりで安全な美容法だと言えるでしょう。また、皮膚に有益なビタミンAとEも豊富ですから、食べても、つぶしてパックにしても効果があります。
アボカドの脂肪分は消化されやすく、また、アボカドには抗菌物質も含まれているので、裏ごししたアボカドは、病弱な人、回復期の患者、病気の子どもに適しています。アボカドで作ったグアカモーレはタコスのお伴というだけではなく、高たんぱく質、高エネルギーで保護効果もすぐれた、すばらしい食べ物です。

|+| 心臓、循環器、皮膚に効果的。
|+| PMSをやわらげる効果がある。
|+| がん予防効果がある。
|+| こんなふうに食べましょう:熟したものを生で。
ペッパー
★効果がある体の器官や機能:免疫系/皮膚、毛、目/心臓と循環器
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:2−3kcal
★豊富な成分:ビタミンA、C
ピーマン、ピメント(スペイントウガラシ)、チリペッパーなどのペッパー類は、すべてトウガラシ属ナス科の野菜で、ジャガイモ、ナス、トマトなども仲間です。ピーマンは緑色で、熟すにつれて赤か黄色になります。トウガラシ属の植物はすべてアメリカ原産で、コロンブスによってヨーロッパにもたらされたのち、アフリカとアジアに広がりました。北米のネイティブ・アメリカンは5,000年以上にわたって、ペッパーを食べ物として、そして薬として利用しています(P.179「カイエンヌ」参照)。
ピーマンには大切な栄養がたくさん詰まっています。カロリーは低く(100gあたり15−32kcal)、ビタミンAの貴重な供給源で、特に赤ピーマンは100gで1日のビタミンA必要量を満たしてくれます。さらに充分な葉酸と、食物繊維とカリウムもいくらか含んでいます。ピーマンの皮に含まれている蝋質の化学物質が酸化を防ぐため、収穫後何週間か経ってもビタミンC含有量は高いまま保たれます。冷蔵庫に入れている場合は特に長持ちします。
もう一つ、ペッパー類の栄養面で重要なのはビオフラボノイド(ビタミンPの別名でビタミンPはビタミン様作用物質の一種。毛細血管補強作用を有する物質群。ルチン、ヘスペリジン、エリオシトリンが主要なもの。)で、抗酸化作用に大きくかかわっています。この物質のおかげでペッパーには、心臓や循環器の病気と何種類かのがんに対する保護効果があるのです。

|+| 皮膚の病気と粘膜に効果的。
|+| 夜間視力と色覚に効果的。
|+| 自然抵抗力を高める。
|+| こんなふうに食べましょう:生か、炭火で焼いて。

健康に果たしてくれる役割
●ペッパーにはβ-カロテン以外のカロテノイドも豊富に含まれています。中でも大切なのがルテインとゼアキサンチンで、どちらも、お年寄りの視力障害の最大原因である老年性黄斑変性(AMD)を予防する効果があります。
スイートコーン
★効果がある体の器官や機能:消化器系
★100gあたりのエネルギー:54kcal
★豊富な成分:食物繊維、たん白質
スイートコーンは、粉末や粗引き粉用ではなく、食用野菜にするために改良されたトウモロコシの品種です。スイートコーンの交雑種は、熟す過程でも収穫されてからも、糖分がでん粉に変わるのが遅く、また普通のトウモロコシより甘味の強い品種です。しかし何と言っても甘さの面では、庭になっているのをもぎとってきて、1時間以内に料理して食べるトウモロコシにかなうものはありません。缶詰のスイートコーンは新鮮なスイートコーンにくらべて、でん粉はわずか3分の1、天然の糖分は5倍です。但し、新鮮なトウモロコシには塩分はほぼゼロですが、缶詰にはかなり含まれているので注意が必要です。
スイートコーンはたんぱく質が豊富で、食物繊維もたっぷり含まれ、さらにビタミンAとE、葉酸などのビタミンB群も少量ですが含まれています。

|+| ベジタリアン料理向き。エネルギーと食物繊維のすぐれた供給源。
|+| こんなふうに食べましょう:まるごとゆでて。または、粒をサラダ用に。
カボチャ
★効果がある体の器官や機能:免疫系/皮膚、毛、目/呼吸器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:11kcal
★豊富な成分:β-カロテン
カボチャにぎっしり詰まっているβ-カロテンは体内でビタミンAに変わり、がん、心臓疾患、呼吸器疾患の予防に効果があります。カボチャをたくさん食べている人は、肺がんのリスクが低いという調査結果も出ています。また、ビタミンAが豊富ですから、ベジタリアンにとっても役に立つ野菜です。種にはたんぱく質と亜鉛が豊富に含まれています。

|+| がん予防に効果的。
|+| 呼吸の病気に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:野菜料理として、甘みをつけてパイとして、またはスープとして。

食品でできる応急処置
●サナダムシを退治しましょう。まず新鮮なカボチャの種を60g用意し、湯通しして種の外皮を取り除いたら、緑色の果肉に少量のミルクを加えてすりつぶし、ペースト状にします。12時間食べ物を断ったあとにこのペーストを食べ、その2時間後に、フルーツジュースに混ぜたひまし油を小さじ4杯飲みます。サナダムシが死ぬまで待ちましょう。ふつうは3時間以内に死にます。ひまし油はほかの理由で使ってはいけません。
ズッキーニ、スクウォッシュ
★効果がある体の器官や機能:皮膚、毛、目
★ズッキーニ
 標準的な1ポーションあたりのエネルギー:18kcal
★スクウォッシュ
 標準的な1ポーションあたりのエネルギー:12kcal
★豊富な成分:葉酸、カリウム
ズッキーニとスクウォッシュは、メロンやカボチャやキュウリの仲間です。ズッキーニはβ-カロテンが豊富に含まれている皮も食べられますから、スクウォッシュよりも栄養面ですぐれています。ズッキーニは若いスクウォッシュというわけではなくて、独立した品種ですが、育つにまかせているとスクウォッシュのような姿になってしまいます。スクウォッシュは風味に乏しく、栄養価はさらに乏しい野菜ですが、詰め物をしたり、焼いたり、蒸したりという形で、ほかの食材を引き立ててくれるヘルシーな食材です。
ズッキーニの花は生でサラダに入れるか、ぜいたくにいくなら、リコッタチーズを詰めて衣をつけ、油で1分間揚げます。油はオリーブオイル、または純正のヒマワリ油か紅花油を使ってください。すばらしい風味の一品で、少し高めのカロリーもたまの楽しみということで大目に見ましょう。
お金をあまりかけずに、急いでビタミンAを補給したいときは、軽くゆでたパスタに、すりおろしたズッキーニ2、3本分、オリーブオイル少々、黒コショウ、生のパセリを加えます。最後にチーズを散らして、よく混ぜ合わせます。グラス1杯の赤ワインと、トマトとバジルのサラダをお伴にどうぞ。
ズッキーニとスクウォッシュには葉酸も含まれていて、100gで1日の必要摂取量の4分の1が補給できます。また、カリウムも豊富ですが、エネルギーは低めです。

|+| 減量中の人に最適。
|+| ズッキーニは皮膚の病気に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:ズッキーニは生で食べるか、軽く蒸して。皮のまま食べること。スクウォッシュは、蒸すか、詰め物をしてオーブンで焼きましょう。

食品でできる応急処置
●黒ニキビのような皮膚のトラブルに悩んでいる人は、スクウォッシュかズッキーニのスライスを1、2枚、患部に置いて、やさしくもみこむようにすると、皮膚を乾燥させ、余分な油を吸い取ることで、頑固なニキビを退治することができます。
タマネギ、リーキ、ニンニク
豊富な成分はイオウ化合物
このグループの3種類の野菜はすべて、北米のネイティブ・アメリカンや古代ローマ人、古代エジプト人によって、風邪や気管支炎や喉の病気から、関節炎や痛風まで、さまざまな病気の治療薬として珍重されていました。その治療法の多くは、今でも使えるものです。そして、これらの野菜ががんと冠状動脈心疾患の予防に果たす役割は、数多くの研究の対象になっています。
タマネギ、リーキ、ニンニクはいずれもアリウム属の植物で、イオウ化合物を大量に含んでいます。そういったイオウ化合物の1種であるアリシンは、野菜を切ったりつぶしたりしたときに分泌されて、独特のにおいと風味を引き起こし、また、コレステロールを体外に排出するのを促進します。タマネギはアリシンの含有量はニンニクよりも少ないのですが、抗酸化フラボノイドを大量に含んでいて、この物質が、タマネギががんや冠状動脈心疾患に与える影響の研究における中心テーマになっています。臨床試験と地域別調査の結果を見て、今では政府も、こういった病気に対するニンニクとタマネギの予防効果を認識するようになりました。
これらの野菜はすべて低カロリーですが、栄養価も高くありません。ほとんどないと言っていいぐらいですが、青ネギとリーキの緑色の部分には、少量のビタミンとミネラルと食物繊維が含まれています。
タマネギ
★効果がある体の器官や機能:
 心臓と循環器/骨と筋肉/呼吸器系/排泄器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:22kcal
★豊富な成分:ビタミンC
タマネギは民間治療薬として広く使われており、対象となる症状は、貧血、気管支炎、ぜん息、尿生殖器感染症、関節炎、リウマチ、痛風、早老など、多岐にわたります。
北半球を原産とするタマネギは、その風味とともに治療効果が評価されて、はるか昔から栽培されてきました。中世の人々は伝染病の予防のために、タマネギの束を門柱に吊るしていました。北米のネイティブ・アメリカンには、野生のタマネギを治療薬として使う風習があり、風邪の治療や虫刺されをやわらげるために使っています。
昔から伝えられている療法にはタマネギを主役にしたものが数多くあり、なかでもおいしいのが、有名なオニオンスープです。パリには、夜遊びのあとにオニオンスープを食べるといいという言い伝えがあります。中国の薬草療法では、おできを治療するための湿布として、また、鼻腔の充血をやわらげる薬として青ネギが使われます。タマネギにはさらに、性欲促進効果や育毛促進効果まであると言われています。
タマネギをスライスすると、アリイナーゼという酵素が分泌されます。この酵素がイオウ化合物に作用して発生する化学物質(硫化アリル)が、タマネギの風味のもとであり、涙を流させる犯人でもあるのです。タマネギのエネルギーはきわめて低いのですが、青ネギはビタミンCが豊富ですし、ビタミンB群が少量と、微量のミネラルも含まれています。
タマネギは、ニンニクやリーキ、青ネギ、チャイブ、シャロットなどの仲間で、ニンニクと同じく、近ごろとみに、医療研究の対象として注目されています。タマネギの万能薬としての効果、とりわけ循環器系統に対する保護作用は昔から定評がありますが、最近はそれが科学的に実証され、その本体は、玉ねぎに含まれる硫化アリルであると考えられています。イギリスのロイヤル・ヴィクトリア病院で、志願者を対象に、タマネギに関するある調査が行われました。参加者の血液サンプルを調べると、タマネギ抜きで、油で調理したベーコンと卵だけの朝食をとった人は、血栓ができやすいことがわかったのです。この状態はやがて、血栓症という命にかかわる病気を招きます。一方、ベーコンと卵に、油で炒めたタマネギを加えた朝食をとった人は、血栓ができにくいという結果が出ました。この結果を見れば、タマネギの効果は一目瞭然です。インドでも同様の調査が行われ、油っこい食品をとった人の血中コレステロール値は上昇し、タマネギがそれを正常に戻したという結果が出ています。
さらに、マサチューセッツ州タフツ大学のヴィクター・ギュアウィッチ博士の研究により、生のタマネギを1日に半個食べるだけで、血中の有益な高密度リポたんぱく質(HDL)が平均30%ふえることがわかりました。ほかにも数々の試験で、タマネギのぜん息に対する効果や、血圧を下げるすばらしいはたらきが示されています。
タマネギには強い利尿効果もあり、尿素を分解、排泄するため、リウマチや関節炎、痛風の治療にも役立ちます。また、すぐれた抗菌作用により、昔から胸部感染症の治療にも広く使われています。

|+| コレステロールを減らし、血栓を防ぐ効果がある。
|+| 気管支炎、ぜん息、関節炎、痛風、呼吸器の病気、しもやけに効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:生で。皮のままオーブンで焼く。オニオンスープなど、古くからの料理法で。

食品でできる応急処置
●赤ちゃんの疝痛には、タマネギ1個をスライスして数分間お湯に浸し、冷ました液体小さじ1杯を飲ませます。
●しもやけの治療には、生のタマネギのスライスを患部に当ててすりこみます。
●少し熱が高いときには、大きめのタマネギを1個、高温のオーブンで40分間ほど焼き、タマネギをつぶして出した汁に、同量のハチミツを混ぜます。この液体を小さじに2杯、熱が下がるまで2、3時間ごとに飲んでください。
リーキ
★効果がある体の器官や機能:
 免疫系/心臓と循環器/骨と筋肉/呼吸器系/排泄器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:18kcal
★豊富な成分:β-カロテン、カリウム
リーキは食品としても薬としても4,000年の歴史を持っています。ある作家は、聖書以前のエジプトを、「タマネギを崇め、リーキを神とする」国と表現しています。
ギリシャとローマでは、リーキはこのうえなく重んじられ、特に喉と声の病気の治療に利用されていました。あの悪名高い皇帝ネロは、美しい歌声を手に入れるために毎日リーキを食べたそうです。
西暦690年、カドワラー王がひきいるウェールズ軍はサクソン人を倒し、歴史的勝利をおさめましたが、その戦いのあいだ、ケルト族の兵士たちはリーキを身につけて、敵と味方を見分けたといいます。それ以来、リーキはウェールズの国章となっています。
リーキはニンニクやタマネギやチャイブと同じ、パワーがいっぱい詰まったアリウム属の野菜です。抗発がん性化学物質は同じ属のほかの野菜ほど豊富ではありませんが、解毒のプロセスには重要な役割を果たします。また、抗菌作用がありますから、胃の中の、無害な硝酸塩を発がん性のある亜硝酸塩に変える菌を死滅させ、胃がんの予防に役立ちます。
リーキを調理するとき、地上に出ている濃緑色の部分を捨ててしまい、白い茎の部分だけを食べる人がほとんどですが、これは大きなまちがいです。この緑の部分には、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンが豊富に含まれているのです。
リーキに含まれるビタミンやミネラルや食物繊維の量は大したものではありませんが、葉酸とビタミンCは適度に含まれていますし、カリウムは豊富です。リーキには利尿効果があり、尿酸を取り除く能力があるので、痛風や関節炎の人には最適の食品と言えます。

|+| 胸部と声の病気全般、喉の痛みに効果的。
|+| 高血圧とコレステロール値を下げ、がんを予防する効果がある。
|+| 痛風と関節炎に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:軽く蒸して、熱いうちに、あるいは冷めてから、ヴィネグレット・ドレッシングをかけて。
ニンニク
★効果がある体の器官や機能:
 免疫系/消化器系/皮膚、毛、目/心臓と循環器/
 神経系/呼吸器系/排泄器系
★標準的な1ポーションあたりのエネルギー:3kcal
★豊富な成分:アリシン
古代ローマの医師たちが、新しい国に到着するとまず栽培するハーブは、当時すでに薬効のあるハーブとして最も貴重とされていたニンニクでした。ニンニクをイギリスに持ちこんだのはローマの百人隊で、長く苛酷な行進につきものの細菌性の感染症から足を守るために、生のニンニクを足の指のあいだに詰めていました。古代エジプトから、中世紀の古代ギリシャとローマ、イングランドの文明を経て、19世紀末にいたるまで、ニンニクは世界中で最も広く利用される薬草でした。ニンニクの抗菌効果は以前から知られていますが、それがはじめて科学的に証明されたのは1858年、ルイ・パストゥールによってでした。ニンニクは細菌性感染症を死滅させる効果があり、また、特にアルコールと重金属の解毒剤としてすぐれた効果を持っています。
数年前のことですが、1週間のあいだに3人の患者さんからかかりつけの医師が、血液検査結果に表れた変化に首をひねっている、という話を聞きました。その3人はそれぞれちがう理由で私に相談をしに来ていたのですが、共通していたことは心臓か循環器の病気を持っていることと、血を“薄める”ために抗凝血薬の投与を受けているということでした。その結果、全員が、投薬量を減らしてもらっていました。私は3人の報告を聞いて、感激しました。なぜでしょう? 実は、私がその3人にほどこした治療に共通していたのはただ一つ、大量のニンニクだったのです。
ニンニクが心臓と循環器におよぼす大きな効果についての最新の研究で、ニンニクには、心臓疾患に関連する要因に対して、予防と治療の両方をするという、独特の効能があることがわかりました。さまざまな地域を対象に病気の分布を調査している科学者たちは、ニンニクがたくさん食べられている国では、喫煙率も飲酒率もイギリスと変わらないにもかかわらず、心臓発作による死亡率がイギリスよりも低いことを知っています。イギリスはヨーロッパでニンニクの消費量が最も少なく、心臓疾患で若くして亡くなる人の率は最高です。しかしアメリカでは、政府が行った保健教育キャンペーンが効を奏して、心臓疾患はかなり減少しています。
ニンニクをくだいたときに分泌されるアリシンというイオウ化合物は、コレステロールの排泄を促し、肝臓で生成される不健康な脂肪の量を減らすはたらきをします。脂肪分の多い食事をしている健康な志願者を対象とした調査では、血中コレステロールは最大15%低下しました。最近、ベルリンで国際ニンニク・シンポジウムが開催されましたが、注目すべき研究のうちいくつかは、心臓疾患と脳卒中の三大要因である血中コレステロール値、高血圧、血栓の減少に関するものでした。高コレステロール値の患者を対象とした調査で、患者の半数はニンニクの錠剤、あとの半数は偽薬を与えられました(食事に関する指示はありませんでした)。16週間後、偽薬のグループには変化がないままでしたが、ニンニクを摂取したグループは、コレステロール値が平均12%下がっていました。
『英国医学ジャーナル』に掲載されたあるレポートは、ニンニクが心臓疾患に与えるメリットを明らかにしていますが、蒸気蒸留で作られたエキスやオイルにはアリシンが含まれていないものもあるため、充分な量のアリシンを含有した製剤を使うことの重要さが強調されています。一方で、ドイツのアーヘン大学の眼科病院と、ザールランド大学の輸血研究所、そしてミュンヘン大学で行われた研究は、ニンニクは血管を拡張させ、血液の粘りを少なくするという事実を強く裏付けています。
ニンニクにはがん予防効果もあります。ギリシャのクールーナキス教授と、テキサス大学のワーゴヴィッチ教授は同じ分野で研究をしています。ギリシャ側は、がん細胞の生成を招く非常に有害な化学物質である“フリーラジカル”を、ニンニクがどのように破壊するかを研究しました。一方、テキサスのワーゴヴィッチ教授は、幅広い種類の天然化合物と、それらの化合物のがんに対する予防効果を研究しています。人工的にがん細胞の生成を誘発して試験を行ったところ、ニンニクは、がんを誘発する活性酸素を除去したり、有害な発がん物質の働きを抑えたり、さらにがん細胞の増殖を抑えるなどしてがん細胞を減らし、またケースによってはがんの発病を防ぎました。

|+| がん予防効果がある。コレステロール値、血圧を下げる。血液の循環を改善する。
|+| 咳、気管支炎、カタル、喉の痛み、ぜん息、消化不良、便秘、下痢、胃の不調に効果的。
|+| 水虫など、細菌性の感染症に効果的。
|+| こんなふうに食べましょう:生でサラダに入れて。まるごとオーブンで焼く。フライパンで焼く場合は、茶色くなるまで火を通さないこと。

健康に果たしてくれる役割
●気管支炎、カタル、喉の痛み、ぜん息、消化不良、便秘、下痢、それに水虫にまで効果のある、パワフルなニンニク。いったい、どんなふうに食べるのがいいのでしょうか。栽培された土壌によって、ニンニクの質に差があります。最高のニンニクは、中国、アメリカ、南フランスで有機栽培されたもので、アリシンもたっぷり含まれています。アリシンはニンニクをつぶしたときに分泌されますが、高温での調理、特に油で炒めた場合に破壊されることがあります。
●生のニンニクを毎日むしゃむしゃ食べるのには抵抗があるという人は、ニンニクのサプリメントを利用しましょう。ニンニクの乾燥粉末を加工しないで錠剤にしたものなら、新鮮なニンニクの長所がそのまま残っています。アリシンの含有率が高く、同じ容器に入っているすべての錠剤が、中ぐらいのサイズの、新鮮で上質なニンニク1粒にあたる量を含んでいるものでなければなりません。