■No.9
 家の設計はカミさん主導にかぎる

 春日町の土地を購入してから、農地転用の手続きのため、地元の人たちへの挨拶回りをして登記をすませたのは半年後。それからは、300坪の半分は畑として使うため、物置小屋をつくったりした。広さは約6畳、プロックで基礎をつくり、外壁はすべて半丸太で囲った。この半丸太は、ある店の内装に使っていたという廃材を、2万円で買い取ったものである。カミさんとふたりの週末作業で、数カ月かかって完成した。

 そしていよいよこの春(2004年)から、家の建築が始まった。

 その設計(間取り)はカミさんである。女性にとって(男にとっても?)家の中心は台所とリビングだ。だから台所周りの使い勝手をよくすることが、設計のポイントになる。

 カミさんは、方眼紙を使って家の間取りを書き、地元の工務店と相談しながら図面を描いてもらう。工務店から詳細な基本設計図と見積額が提示された。予算オーバーである。そこでカミさんは、タテ・ヨコの長さを1メートルずつ削り、再度、間取りを考え直した。建坪面積は少し狭くなった。しかし、リビングの中心となる薪ストーブや階段の位置を変えた間取りは、むしろ前より良くなった。

 カミさんの友人に、奈良の田舎に家を建てた人がいる。先日、カミさんはその家に初めて訪ね、帰ってくるなりこう言った。

 「周りの景色もよかったし、囲炉裏のある家も立派だったけど、彼女には気の毒だったわ。台所は狭くて、彼女は食器棚にも手が届かないのよ」

 どうやらそのご亭主は、自分の思いどおりの家を建てたようだが、奥さんには台所のことを一言も相談しなかったというのだ。

 縄文時代の縦穴式住居でも、その中心にあるのは台所だった。「男子厨房に入らず」なんていうのは時代錯誤もはなはだしい。厨房には興味がないというのなら、なおさらのこと、家の設計は女性が主導権をもったほうがいい。

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