独立・起業・会社設立 支援室
行政書士・社会保険労務士 南 潤一 事務所 Tel 077-521-6946
1円会社の基礎知識
1円会社ってなに?

1円会社とは中小企業挑戦支援法の施行により、平成15年2月1日から平成20年3月31日までの約5年間にこの制度を利用して設立する有限会社または株式会社のことです。
これらの会社は従来の最低資本金(有限会社300万円、株式会社1000万円)の規制を受けないため、資本金が1円からでも設立できることから「1円会社」と呼ばれます。
正確には確認有限会社、確認株式会社といいますが、設立する会社名に(「○○確認株式会社」のように)「確認」の文字を入れる必要はありません。

誰でもつくれるの?

1円会社は誰でもつくれる訳ではありません。
1円会社を創業できるのは「事業を営んでいない個人であって2ヶ月以内に新たに会社を設立して、その会社を通じて事業を開始する具体的な計画を有する者」と決められています。通常の会社でしたら「人」について審査されることはありません(破産者や犯罪者などの一定の制限はありますが)が、1円会社は”会社をつくるときのハードルを低くするのでアイデアのあるひとは起業して、がんばって儲けて経済を活性化してや!”という特別の制度ですので、はじめて「人」についての審査が行われることになったのです。

具体的には次のようになります
<1円会社をつくれる人>                 <1円会社をつくれない人>
◇サラリーマン・OL                     ◇個人事業主(歩合制の営業職なども該当する
◇主婦・学生                                                ことがあります)
◇年金生活者                        ◇代表権のある会社役員 など
◇代表権のない会社役員 など

それでは現在、個人で事業を営んでいる者は絶対にムリなのでしょうか?

実はそんなことはありません。
たとえば、個人事業を営んだままではだめですが、いったん現在営んでいる個人事業を廃業して確認を
受ける方法や、個人で事業を営んでいない人に創業者になってもらい確認を受ける方法などがあります。
いづれも合法的なやり方です。くわしくは当事務所にご相談ください。
1円会社は1円ではつくれない?

確かに中小企業挑戦支援法により1円会社が可能になりましたが、あくまでそれは”資本金が1円でよい”ということです。実際に会社を設立するには,通常は下表のとおり有限会社の場合約20万円、株式会社の場合約30万円の設立費用が必要です。ただし電子定款認証により会社を設立した場合、定款に貼る印紙代が不要になるため通常より4万円安く設立できます。
確認有限会社 確認株式会社
定款に貼付する印紙 4万円 4万円
公証人の定款認証料 5万円 5万円
登録免許税(登記料) 6万円 15万円
その他の諸費用 約5万円 約7万円
合計 約20万円 約31万円
電子定款認証で設立した場合(印紙代不要) 約16万円 約27万円

その他の諸費用とは、設立後の届出などに使用する謄本代や会社代表印の作成費用などです。
設立費用は誰が手続きをしても必要な実費の部分ですので、行政書士等の専門家に依頼する場合は、これに別途報酬が必要となります。また法人として事業を行うと、利益の有無にかかわらず、毎年、法人道府県民税均等割として2万円、法人市町村民税として5万円等の合計約7万円を負担しなければなりませんので、そのことも頭に置いておく必要があります。

1円会社のメリット・デメリット

1円会社のメリットはその名のとおり資本金が1円で会社ができるということでしょう。これにより従来はアイデアがあっても最低資本金の規制により会社を興すことができなかった方にもビジネスチャンスを逃さずに事業を始める途が開かれました。
しかし、通常の会社よりも手軽に設立できる分、1円会社にはいくつかのノルマが課せられています。後になって「こんなはずでは・・・・」とならないようしっかりと理解しておきましょう。

1)5年以内に資本金を増資しなければならない

おそらくこれが確認会社で事業を始める場合の最も大きなノルマでしょう。確認会社は設立から5年以内に、本来の最低資本金額である、有限会社なら300万円、株式会社なら1000万円までに資本金を増やさなければなりません。もしこれができない場合は「合名会社か合資会社に組織変更する」か「解散」しなければなりません。また最低資本金に達するまでの間は利益配当、中間配当、自己株式の取得なども制限されることになります。つまり確認会社というのは、”資本金1円でスタートしてもよいのでがんばって利益をだしてくださいよ。そして5年間待ちますのでその間に本来の資本金まで増資してくださいね。もしだめなら解散ですよ!”というシビアな制度なのです。これはかなりのプレッシャーだと思います。もし1円でスタートした場合、単純に考えても株式会社なら年間200万円づつ、有限会社でも年間60万円づつ資本金に充てていかなければなりませんし、万一できなかった場合、合名会社か合資会社に組織変更して生き残る手もありますが、対外的なイメージダウンは否めません。まして解散にでもなったらたいへんです。経営者の方はこのところをよく理解していただき周到な事業計画をお願いします。

2)経済産業局への届出義務

確認会社は通常の会社の手続きに加えて、経済産業局に以下のような届出が義務付けられています。

<設立時に必要な届出>

●確認申請

確認申請書、確認申請書別表、創業者に該当することの誓約書、事業を営んでいない個人の証明書、定款認証後の定款の写し を経済産業局に提出します。提出後、約1週間で確認書が交付され、確認を受けた日から2ヶ月を経過するまでに法務局に登記申請をします。そして登記が完了したら直ちに登記簿謄本を添付して設立の届出を経済産業局に対して行います。

<設立後に必要な届出>

●変更の届出

設立時の届出事項(会社名、所在地など)に変更が生じた場合、遅滞なく届出が必要です。この場合は変更後の登記簿謄本を添付して届出ます。

●通常の会社になる際の届出

無事、増資をして資本金が最低資本金額に達した場合の卒業の届出です。登記完了後2週間以内に登記簿謄本を添付して届出をします。そして当然ですがこれ以降は「通常の会社」ですから、経済産業局への確認会社としての義務的な届出は不要になります。

●財務諸表の届出

毎年決算終了後に貸借対照表、損益計算書、利益処分案の財務諸表を届出なければなりません。そして届出られたこれらの書類は「公衆の縦覧に供され」つまり希望者に閲覧されることになります。これは通常よりも少ない資本で設立された会社と取引をするような利害関係者が、その会社の財務内容を把握できるようこのような制度が設けられています。

●組織変更、解散、消滅の届出

合名会社や合資会社へ組織変更した場合、破産またはその他の事情により解散した場合、合併により消滅した場合はその登記完了後2週間以内に登記簿謄本を添付して届出が必要です。

3)申請期限が限られています

確認会社の制度は平成15年2月1日から平成20年3月31日までの約5年間だけの時限立法です。平成20年4月1日以降は創業者の確認申請ができないため確認会社の設立はできません。確認会社で会社設立をして事業を始めようと考えておられる方は、この制度の主旨と内容をよく理解したうえでタイミングを逃さずに、ビジネスチャンスをつかんで頂きたいと思います。なお平成20年3月31日はあくまで確認会社設立の申請の期限であって、増資の期限ではありません。増資の義務は「設立の日から5年以内」ですので、例えば平成20年3月に確認会社を設立した場合は平成25年3月までに増資を完了すればよいことになります。





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